仕事で手帳やメモ帳は使っているけれど、ノートは使っていないという人は意外と多いのではないでしょうか。
もちろん手帳やメモ帳にもたくさんの長所が存在します。ただ「アイデアを生み出す」という点においては「ノート」が最も効果的であることは間違いありません。
今回はアイデアを生み出すためのノートの使い方を紹介します。
ビジネスマンも是非参考にしてください。
ノートを選ぼう
なるべく大きなノートを用意しよう
ノートを使うことのメリットは大きなサイズを選べるということ。
仕事に手帳やメモ帳を使っている人は多いと思いますが、選ぶ際にA7(74×105mm)やA6(105×148mm)といった小さなサイズのものを選んでいないでしょうか。
スケジュールやちょっとしたメモならそのサイズで十分ですが、アイデアを生み出すという観点から見るのであればノートは大きければ大きいほどよくなります。
余白が必要になるからです。
余白に関しては後述しますが、ノートは最低でもA5(148×210mm)サイズ以上のものを選ぶべきとまずは覚えておいてください。
ノートの選び方
ノートには様々な種類があり、どのノートを買えばいいのか悩むところですが、A5サイズ以上のものを選んだら、あとは好きにしてもらってかまいません。
「綴じ方」「罫」「用紙」と自分の使用目的に合ったものを探してください。
アイデアを生み出すためのノート活用術
ノートの基本的な使い方
ノートを新しく使いはじめるときに一番やってはいけないのは、ノートの中身をカテゴリーで分けることです。
最初にカテゴリーを定義してしまうとノートを自由に使えなくなる可能性があるので、カテゴリー分けはしない方が無難です。どうしてもカテゴリーで分類したいのであれば、ツイストノートのようにリーフを自由に交換できるものを選ぶといいでしょう。
ノートの基本的な使い方は以下の通りになります。それぞれ順番に見ていきます。
時系列順に書く
ノートには深いことを考えずにとりあえず書き出していくのがいいです。
ただ、ずらーっと書き連ねてしまうと、後から見たときにわかりづらいものになってしまうので、1つの内容ごとに時系列に沿った形で区切るのがいいでしょう。
区切る時には段落のはじめに日付とタイトルを記載するのがさらにわかりやすくておすすめです。
余白を取る
実際にノートを書く際には、隅から隅までびっしりと文字を書かないように注意してください。
必ずしも縦に区切り線を引く必要はありませんが、少なくともページの右側約3分の1は余白として残しておいてください。余白を残すことで生まれるメリットとしては①後で見やすくなる、②後から余白に書き足せるという2点が挙げられます。
冒頭で、ノートは大きなサイズを選んだ方がいいと書きましたが、ノートが大きければ大きいほど大きな余白を取ることが可能になります。
ただノートに何かを書いた段階では後から余白に何を書き足すのか見えていない場合が多いので、スカスカのページは気持ち悪いかもしれません。しかしこの余白の部分にこそアイデアは生まれるものです。そして余白が大きければ大きいほどアイデアは大きく進化します。
小さな手帳やメモ帳がダメな理由は、余白が大きく取れないためにアイデアが大きく育たないという点なのです。
文章の書き方
ビジネスにおいてはノートを使おうが手帳を使おうが、必ず求められるビジネス文書の書き方があります。いい機会なので簡単にビジネス文書の書き方をまとめておきます。
基本は箇条書き
何かをメモする場合には、箇条書きを基本とします。
箇条書きのメリットは情報を整理することができることです。
箇条書きで列挙するだけで要点をおさえることが容易になるので、まずは箇条書きからスタートするといいでしょう。
文章は短くシンプルに
ビジネスシーンでは物事をわかりやすく伝達することが必須能力となります。ビジネス文書も同様で相手にとって読みやすく、理解しやすいことが重要です。
文章にする場合は、短くてシンプルな文章にするといいでしょう。
この時、箇条書きしたメモをベースにすると、シンプルな文章を構築しやすくなります。
A案とB案に関しては、両案とも甲乙つけがたいほどよく練られているが、当社がターゲットにしているF1層から支持を得られるのはA案だろうとの意見が企画会議において挙がり、最終的にA案が選ばれた。
〈良い例〉
企画会議の結果、A案が選ばれた。
B案よりもA案の方がF1層から支持を得られるとの判断からだ。
- 一つの文章は長くても50文字程度にする
- 一つの文章に主語は一つ
- できるだけ接続詞を使わない
結論→理由→補足の流れ
物事をわかりやすく伝達するためには、文章を短くシンプルにするだけではなく、文章構成にも注意しなければなりません。
ビジネス文書や新聞記事では結論→理由→補足と進む逆三角形型の構成が一般的です。この逆三角形型の構成は重要な要素から記述していくという英語型のものであり、起承転結を好む日本人には馴染みがないかもしれませんが、ビジネスシーンではこの方法が多く用いられるので、是非マスターしておきましょう。
(理由)B案よりもA案の方がF1層から支持を得られるとの判断からだ。
(補足)A案は上層部の許可がおり次第、新プロジェクトとしてスタートする。
6W2Hを意識する
6W2Hとは情報を書きもらすことなく伝えるためのチェック項目の一つです。
- WHO(誰が)
- WHOM(誰に)
- WHAT(何を)
- WHY(何のために)
- WHERE(どこで)
- WHEN(いつ)
- HOW(どのように)
- HOW MUCH(どのくらい)
書いて伝える時、話して報告する時など、伝える情報が6W2Hの各要素を満たしているか常にチェックするといいでしょう。
アイデアの生み出し方
アイデアを生み出すにはまず頭の中を整理して、漠然とした思考を見える化する必要があります。
思考をノート上で見える化できれば、点が線になるように思考同士が結びついて、思考のかたまりがそれまでは考えもしなかったようなアイデアへと昇華するものです。
思考を見える化するための方法を4点紹介します。
とにかく何でも書き出す
思いついたことは何でも書き出すということがすべての基本です。
ポイントは前述した通り、時間軸に沿って、余白をたっぷりと取りながら書き出すこと。一度書き出せば考えが堂々巡りすることもなくなりますし、書いたものを眺めてさらに深く広がりのある発想をすることも可能になります。
またその時点で大した意味もないと思われる考えもボツにせずに記入しておきましょう。後々思考同士がどのように組み合わさっていくかは誰にも予測できないからです。
図に変換する
思考を見える化する際には文章だけではなく図も組み合わせればさらに効果的です。
箇条書きのみの文章よりも適度に図案化した方が視覚性が高まり、脳は活性化します。図というと高度なイラストを想起されるかもしれませんが、必ずしも上手なイラストは必要ありません。シンプルなロジックツリーで十分に視覚性を上げれますので、まずはロジックツリーを導入するところからはじめましょう。
ロジックツリーとは上の図のように思考を枝分かれの形で分岐させたもののことで、箇条書きの発展系とも言えます。
SWOT分析を取り入れる
ロジックツリーを使いこなせるようになったら、さらにSWOT分析に挑戦するといいでしょう。
SWOT分析とは図を格子状にして、目的達成のための方策を導き出すビジネスフレームワークです。Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の頭文字からSWOTと呼ばれています。
図を参考にして、各格子を箇条書きで埋めていってください。
マインドマップ
最後にマインドマップを紹介します。
マインドマップは図を使ってアイデアを生み出すための思考法です。
まずは見開きにしたノートの真ん中にテーマを書いて丸で囲みます。次にそこからロジックツリーのように枝を伸ばし、思いついたことを自由にメモしていきます。たったそれだけでマインドマップは完成します。枝を伸ばせば伸ばすほどテーマは大きく、具体性のあるものとなります。
ポイントはとにかく思いついたら枝を伸ばすこと。
大きなノートを使っていれば当然マインドマップも大きくすることができるので、やはりここでもノートの大きさが重要になります。
またマインドマップを作る過程で何を書いたらいいのかわからないという場合は、情報伝達の基本である6W2Hを取り入れるといいでしょう。テーマを中心に少なくとも6W2Hの8つの枝は伸ばせるはずです。
あとがき
アイデアを生み出す方法として何点か見てきましたが、アイデアとは思考をアウトプットした一つの結果であって、簡単に生まれるものではありません。
思考がアイデアとして育つにはどうしても時間がかかりますので、すぐに諦めないことが大切です。
まずはノートに思考を書き出していくことを習慣化し、アイデアが生まれやすい環境を整備するといいでしょう。
そして発想に行き詰まった時は、図やマインドマップを利用して視覚化することを心がけてください。