僕は、村上春樹の作品って「エッセイ>小説」だと思ってます(もちろん、あくまで個人的に)。
で、そのエッセイの中でも特に素晴らしいのが、音楽を扱ったもの。
というわけで、おすすめのエッセイを5作品紹介します。
村上春樹のおすすめエッセイランキング5選
5位 小澤征爾さんと、音楽について話をする
内容は、題名の通り。
村上が小澤にクラシックの質問をしています。
カラヤン、バーンスタイン、グールド、サイトウ・キネンなんかの話が普通に出てくる感じ。
でも、二人はまったく噛み合ってない笑。
感覚的な小澤と、論理的な村上。
つーか、すごく驚くのは、小澤の中に「音楽を第三者に伝えるための語彙」がまったくないこと。
小澤は、自分の音楽を言葉で説明しようなんて思ってないってことなんだろうね。
4位 若い読者のための短編小説案内
文学とはなんぞやみたいなことを、村上が解説してくれます。
村上曰く、「文学とは自我(エゴ)と自己(セルフ)の関係性」だそうで。
で、それをわざわざわざわざ図にしてくれるんです笑。
そのあたりの話って、文学が好きな人たちならみんな(たぶん)感覚的にわかっていることなんだけど、この本を読むと、村上も「わかっている」のがわかります。
つまり、全部意図的なんだよね。
ほら、村上の小説を読んで、どう捉えたらいいのかよくわからないところってあるじゃないですか。
そういうのを、村上はすべてわかってやってると。
3位 走ることについて語るときに僕の語ること
ランニングについて語ってます。
ですが、この頃から自分語りが増えた気がする笑。
第1章に『誰にミック・ジャガーを笑うことができるだろう?』というタイトルをつけて、60歳を過ぎても『サティスファクション』を歌うミックのことをフォローしてるんだけど、年寄りがディスられるのは自分語りが増えるから。
ただ、まあそれはそれとして。
ランニングをメタファーに自分の文学論を語る技術は見事。
2位 村上春樹 雑文集
今までにどの単行本にも掲載されなかった作品がまとめられたもの。
あいさつ・メッセージからエッセイや対談といったものまで雑多に収録されているから、雑文集というタイトル。
で、他のエッセイ集と違うのは、クライアントに頼まれて書いたものが多いってところ。
ここが大事なポイント。
一般論として、人に依頼された仕事の方がクオリティが上がるんですよ(たぶん)。
つまり、編集者(他者の意見)は必要ってこと。
1位 意味がなければスイングはない
村上の最高傑作はコレ。
誰がなんと言おうとコレ。
小説じゃない。
スガシカオのところで、Jポップに対して「なんだ、どれだけ新しいコロモに包まれていても、結局のところ、中身は”リズムのある歌謡曲”じゃないか」[出展:村上春樹著「意味がなければスイングはない」文春文庫、231P]って言ってるんですけど、これは本当にその通り。
Jポップなどの邦楽を嫌いな人たちは、みんな嫌いな理由を説明できなかったんです。
90年代とかJポップ全盛期だったけど、そんな指摘すらどこにもなくて。
でも、村上が一言で説明してしまったと。
村上春樹のおすすめエッセイまとめ
村上春樹って何がスゴいの?みたいなこと言ってる人って結構いるじゃないですか。
その答えは『意味がなければスイングはない』にある(と、個人的に思う)。
よかったら、読んでみてください。