これからランニングやフィットネスをはじめたいという人にとって難しいのが、ランニングシューズの選び方。
様々なメーカーからいろいろな種類が出ているので、一つ選ぶとなるとなかなか悩ましいですよね。
今回はそんなランニングシューズ選びで迷っている人に、独断でランニングシューズを選ぶ方法を伝授します。
もちろん、専門店に行く必要はありません。
いくつかのポイントさえ押さえれば、走力レベルやプロネーション、サイズなどはすべて自分でチェックできますので、是非参考にしてください。
ランニングシューズの選び方
1. 走力レベルを把握する

ランニングの世界には走る能力に応じて走力レベルというものが存在します。
具体的には下記の通り。
- フィットネスレベル
- サブ5レベル
- サブ4レベル
- サブ3レベル
この走力レベル、ランニングシューズ・メーカーによって定義の仕方が若干変わったりもするんですが、大まかな分類方法においては共通していますので、まずはその分類方法を頭に入れてしまいましょう。
フィットネスレベル
フィットネスレベルとはフィットネスランニングを行う人のことを指します。
基本的には屋内のランニングマシンで行うランニングトレーニングのことをフィットネスランニングと呼びますが、近年では屋外で行う軽いランニングやウォーキングなどもフィットネスランニングに含まれるようになっています。
つまりは、距離やタイムにこだわらずに健康維持のために走る場合はすべてフィットネスレベルに含まれるということです。
サブ5レベル
サブ5レベルとはフルマラソンで5時間を切ることができる人のことを指します。
具体的には、「キロ7分、10キロ70分、フルマラソン4時間54分」が一つの目安。
キロ7分と言われるとちょっと敷居が高いと感じるかもしれませんが、力を抜いてリラックスしながら可能な限りゆっくりと走るジョグがキロ8分です。
なのでキロ7分という目標は初心者でも十分に達成できる数字になります。
つまり、少し走れるようになってきたランナーからフルマラソンにチャレンジするランナーまでを幅広く含むのがこのレベルということです。
サブ4レベル
サブ4レベルとはフルマラソンで4時間を切ることができる人のことを指します。
具体的には、「キロ5分30秒、10キロ55分、フルマラソン3時間51分」が一つの目安。
10キロ55分を達成するのはそんなに難しくないんですが、フルマラソンを通してそのペースを維持するのはかなり困難です。
ですので、このレベルはある程度走り込まないと入り込めないレベルと言えるでしょう。
市民ランナーにとっては達成できれば一種のステータスになったりもします。
サブ3レベル
サブ3レベルとはフルマラソンで3時間を切ることができる人のことを指します。
具体的には、「キロ4分、10キロ40分、フルマラソン2時間48分」が一つの目安。
フルマラソン2時間48分っていうのはとにかくスゴい数字で、相当に力のあるランナーでないと達成することはできません。
ですので、サブ3と言うと一般的には上級者のことになります。
2. 走力レベルごとにシューズの特徴を把握する

走力レベルにはフィットネス、サブ5、サブ4、サブ3の4つのレベルがあるという話をしましたが、次はそれぞれのレベル向けに開発されているランニングシューズがどんな風に違うのか見てみます。
フィットネスレベル
フィットネス向けのシューズは、一般的に片足(メンズ27cmの場合)200g〜350gの重量にて開発されています。
ジムなどでのフィットネスランニングから屋外でのライトなランニングやウォーキングまで幅広く使えるように設計されているところがポイント。
フィットネスランニングに重点をおけばランニングマシンの上を走りやすいように軽量設計となりますし、屋外のロードを走ることを重要視すればクッション性を高めるために重めの設計となります。
重さに幅があるのはそういう理由です。
ただ、フィットネスランニング向けのシューズをランニングマシン以外のトレーニング、例えばワークアウトやウエイトトレーニングなどに使うことはできるだけ避けてください。
そういったシューズの多くは前後の動きにしか対応していませんので、ワークアウトのような前後左右の動作を伴うトレーニングを行う場合はジム用のトレーニングシューズを用いるようにしましょう。
サブ5レベル
サブ5向けのシューズは、一般的に片足(同)300g〜350gの重量にて開発されています。
フィットネスレベルのロード向けのものと被る部分が出てきますが、クッション性や安定性を高めるために重めに設計されているのが特徴です。
また、重めなので耐久性もあります。
ある程度真剣にランニングをしたいという人はこのサブ5向けのシューズを選ぶようにしましょう。
サブ4レベル
サブ4向けのシューズは、一般的に片足(同)200g〜300gの重量にて開発されています。
サブ5向けのシューズのシューズよりも一段階軽くなっているのが特徴で、その分スピードを上げることができます。
ただ、サブ5向けのものと比べると軽量化した分クッション性が犠牲になっているので注意が必要。
ランニングシューズというものはこのクッション性とスピード性ですべてが決まります。
クッション性を高めにするとシューズは重くなりますし、軽くすればスピードは出せるようになるもののクッション性が失われます。
それがランニングシューズの基本構造になるので覚えておいてください。
サブ3レベル
サブ3向けのシューズは、一般的に片足(同)150g〜200gの重量にて開発されています。
サブ5向けのシューズを履いた後に履くと履いてないんじゃないかと思うくらい軽いのが特徴です。
もちろん、好タイムを出すためにこの重さになっています。
走力レベルでシューズを選ぶ時の注意点
サブ3ランナーはフィットネス向けのシューズを使っても何も問題はありませんが、フィットネスランナーがサブ3向けのシューズを使うことはできるだけしないようにしましょう。
サブ3向けの軽いシューズはクッション性が高くありませんので、フィットネスランナーがこれを履いてしまうと足に十分な筋力がないためにケガをする恐れがあります。
ランニングをはじめて日が浅い人ほどシューズの重さ(クッション性)を重視してシューズ選びをしてください。
ちなみに、サブ3で走れる人が必ずしもサブ3向けのシューズを履く必要はありません。
毎日のトレーニングなどにクッション性が高いものを使いたいのであれば、自分の走力レベルに関係なくサブ5向け・サブ4向けといった重めのシューズをチョイスしてください。
3. プロネーションをチェックする

さて、自分の走力レベルがある程度わかったら、今度はプロネーションを調べます。
人間の足はランンングなどで着地をする際に強い衝撃が加わると、内側に自然と倒れ込んで衝撃を吸収する構造になっています。
この仕組みをプロネーションと言います。
- 足首が過度に内側に倒れ込む場合:オーバープロネーション
- 足首の倒れ込みが適度な場合:ニュートラルプロネーション
- 足首が内側に倒れ込まない場合:アンダープロネーション
オーバーとアンダーの場合はどちらも体に負担がかかるので、それをサポートしてくれるシューズを選んだ方がケガをしにくくなるとされています(ただし、ニュートラルだからと言ってケガをしないわけではありません)。
走っている時は自分の足元(足首)を見れないため、専門家や専門店にきちんと計測してもらった方が正確な結果が出ますが、簡単に見分ける方法もいくつかありますので紹介します。
目視で確認する方法

まずは、目視で確認する方法。
これは背筋を伸ばしてまっすぐ立ち、両足を肩幅に広げた時の足首がどのような状態になっているかを見るというものです。
詳しくは図の通りになりますが、「くるぶし」と「くるぶしから垂直に下ろした足裏の部分」の位置関係で判断します。
- 「くるぶし」が「足裏」より左:オーバープロネーション
- 「くるぶし」と「足裏」がほぼ平行:ニュートラルプロネーション
- 「くるぶし」が「足裏」より右:アンダープロネーション
※右足を想定して解説しています。実際に目視で確認する場合は、左右両足を確かめてください。姿見やスタンドミラーをうまく使うと一人でも確認できます。
靴底で確認する方法

次に、靴底で確認する方法。
これは普段履いている靴の裏を見るというものです(スニーカー、ブーツ、通勤靴など何でもかまいません)。
- 靴の内側(親指側)がすり減っている:オーバープロネーション
- 全体がまんべんなくすり減っている:ニュートラルプロネーション
- 靴の外側(小指側)がすり減っている:アンダープロネーション
プロネーションをチェックしたら
以上の2つの方法で確認すると、自分のプロネーションがおおまかに判断できます。
後は自分のプロネーションの傾向に合わせてシューズを選べばOK。
- オーバープロネーションの人:オーバープロネーション用のシューズ
- ニュートラルプロネーションの人:すべてのシューズ
- アンダープロネーションの人:アンダープロネーション用のシューズ
シューズがどのプロネーションに最適化されているのかは、各メーカーのウェブサイトなどで確認してください。
4. 足のサイズを測る

走力レベル、プロネーションがわかったら、足長と足幅(足囲)を計測してサイズを決めます。
足長を測る
かかとの中心から一番長い指の先までの長さが足長です。
左右の足長を測り、左右の大きさが違う場合は大きい方に合わせます。
足幅(足囲)を測る
親指と小指の付け根の部分(骨が出っ張ったところ)の周囲が足幅(足囲)です。
これも左右で大きさが違う場合は大きい方に合わせます。
サイズの決め方
サイズは各メーカーによって変わりますので、詳しくは各メーカーのウェブサイトなどで確認してください。
例えば、アシックスなら以下のページを参考にします。
ただ、ランニングシューズを選ぶ際の「サイズの決め方」というものがある程度確立されています。
具体的には以下の通り。
- サイズは足長+1cm
- 足幅は2E(標準体重に近い人の場合)
つま先は1cm程度空いていた方が動きやすいので、自分の足長よりも1cm大きいサイズを選びます。
また、一般的な日本人の足幅は2Eとされていますので、自分の体重が標準体重に近いのであれば2Eが最もフィットする足幅となります。
体重が軽い人や重い人はそれを踏まえた上で、自分の足に合うものを見つけてください。
5. それ以外のチェック項目
それ以外にも、ランニングシューズと自分の足との相性、クッション性、安定性、フィット性などを確認する必要があります。
ただ、それは実際に試着してからの話。
試着はもちろん専門店などの実店舗で行えますが、おすすめはやっぱり何と言ってもアマゾンです。
アマゾンで取り扱われているランニングシューズの多くは30日以内なら無料で返品することができますので、このサービスを有効活用して自分の足にぴったりの1足を見つけましょう。

例えば、25.5cmと26.5cmのものでどちらにするべきか悩んだら、両方注文して自宅にて試し履きを行い、サイズの合わない1足を最終的に返品すれば、サイズの合わなかった商品の代金は全額返金されるので便利です。
もちろん、自宅での試し履きは屋外で履かないなどの注意点がいくつかありますので、その点にだけ注意してください。
専門店で計測してもらうメリットは?
もちろん、専門店で計測してもらったほうが詳細で正確なデータになります。
例えば、アシックスストアの場合はプロネーションテストというサービスがあります。
ランニングマシンの上で走り、それをビデオ撮影することでプロネーションを判定してくれるというのがこのサービスの特徴になりますが、もちろん有料です(2,000円前後)。
近くにアシックスストアがあるのであれば利用するのも一つの手ですが、プロネーションやサイズは前述した方法で簡単に測定できますので、よほど自分のデータを詳細に調べたいという人でなければ利用する必要はありません。
ランニングシューズの選び方まとめ
初心者は専門家や専門店にアドバイスしてもらった方がいいという意見もありますが、一番大事なのは自分で自分の体を把握するということです。
ランニングとは基本的に一人で行うもの。
日々のランニングのすべてを専門家に見てもらうことはできません。
つまりは、自分の頭で考えて、実践するしか道はないということです。
実践をして、ある程度の経験値を積み上げれば、シューズの違いや自分にあったシューズなどもいろいろとわかるようになるので、とりあえずそのレベルになるまでがんばってランニングを継続しましょう。